著作権とは何か?
知っておかないと痛い目に遭う事もありますのでご注意を。
特に重要な箇所は、←ぴっちぴちたいやきくんアイコンでわかりやすくしておきます。
固めの文章ですが、少しだけ辛抱してください。
(C)「知っておきたい写真と著作権との関係」辻田耕三 著
つくば科学写真研究会
発行日 2000/3/24
発行者 猪郷 久義
より一部抜粋。
(レジメと参考資料のみ。まあ、美味しいとこどりと言ったところ。
若干私が加筆した部分もあり。)
↑多分これ、無料配布の冊子だったと思うのだけれど…
(学校で配られたのでうろ覚え)
この冊子の在庫についてはつくば科学写真研究会に問い合わせてください。
(よくはわかりませんので…)
1.はじめに
◎放送局と著作権、研究者と著作権
・著作物の創作者としての権利者+第三者の著作物、実演などの利用者
(例:前者は「ブラウン神父」シリーズを書いたチェスタトン、後者はベートーベン交響曲の「第九」を
演奏するフィル・ハーモニー交響楽団など。
(※実際にフィル・ハーモニー交響楽団が「第九」を演奏しているかどうか知りません))
・権利処理=権利者に利用の許諾を得、その対価を支払うこと
(例:ミッキーマウスの絵を玩具にプリントする際、そのキャラクターの所有者である
ディズニー側に使用料を払って使用許諾を得る
……ディズニー辺りは著作権関係に最も厳しいですからねぇ)
◎知的所有権
・人の知的創作活動の成果を法的に保護する権利 *研究の成果
・知的財産権、無体財産権とも言われる
知的所有権
○文化的な創作物の保護
――例:著作権、著作隣接権
(「ライオン・キング」と「ジャングル大帝」の著作権問題がかつて話題になりましたね。
「ライオン・キング」が「ジャングル大帝」に似ていたって事で)
○産業に関する創作物の保護
――例:実用新案件、特許権、意匠権、商標権、半導体集積回路配置図に関する権利、
植物新品種についてに権利、不正競争防止法上の権利、ノウハウ、トレードシークレット等
(この辺りは会社員の方々にとっても重要になってくるはず。
産業スパイが犯罪になるのは「産業に関する創作物の保護」に違反するから)
2. 著作権の基礎について
著作権とは
◎著作物
・「著作物とは、思想または感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術又は
音楽の範囲に属するものをいう」
(著作権法 第2条第1項第1号)
・要件――1.思ったこと、感じたこと一人の知的創作活動の成果であること
(小学生の読書感想文も著作物なんだろうか?(^^;;
まあ、絵は誰が描こうと著作物なんだろうけどね)
2.創作的に――独創的に、オリジナリティがあること、他人の真似でないこと
3.表現したもの――企画、アイディアは除かれる
(その企画やアイディアが実現された物に著作権が出てくるわけです)
・文芸、学術、美術又は音楽に属するもの――実用品は除かれる
(学校のチャイムや下校時刻のアナウンスは音ですが著作物ではありません(笑))
・著作物は芸術性を問わない
(二次創作であっても著作物になりますので無断で文章を借用したら著作権違反になります。
文章を書いた(タイプした)時点で著作権が発生しますから)
・「写真の著作物には、写真の制作方法に類似する方法を用い
表現される著作物を含む」(著作権法 第2条第4項)
(ようするに、写真および写真に似た制作方法の著作物。
どうも法律関係の文書は文章が堅くていけないね)
◎著作者
・「著作者とは、著作物を創作する者をいう」
(著作権法 第2条1項第2号)
(ようするに有名な音楽家も二次創作の作家さんも著作が著作権に違反した物(盗作など)
でない限り同格の著作者って事です)
・職務著作物、法人著作物
◎著作者の権利
・著作権とは、著作者がもつ権利。
「著作者は、第18条第1項、第19条第1項及び第20条第1項に規定する権利
(以下、「著作者人格権」という)並びに、第21条から第28条までに規定する権利
(以下、「著作権」という)を享有する」(著作権法 第17条第1項)
・「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」
(著作権法 同条第2項)
・無方式主義―ベルヌ条約加盟国またはベルヌ条約+万国著作権条約加盟国
登録等を権利発生の要件としない
・方式主義―万国著作権条約にだけ加盟している国(南米に多い)登録等が権利発生の要件
・○の中にCのマーク(変換不能…)もしくは(C)表示――
方式主義国で保護を受けるための登録に代わる方式
(著作権の主張には一番手軽な方法です。わかりやすいマークですしね)
著作権表示
表示の仕方/○の中にCのマーク(変換不能…)もしくは(C)表示+著作物の最初の発行年+著作権者名
(まあ、ネット上ではあまり見ませんけどね(^^;;<著作権表示)
・著作者の権利=著作権
○著作者の人格的利益を保護する著作人格権
――例:公表権、氏名表示権、同一性保持権
(それぞれ「世の中に作品(あるいは研究成果)を公表する権利、
「氏名(あるいはペンネーム)を著作物に表示する権利」、「作品の改竄(かいざん)を防ぐ権利」の事)
○著作物の下記支分権に定める利用者ごとの著作者の財産的(経済的)
利益を保護する著作権(財産権)
――例:複製権、上演権・演奏権、公衆送信権(放送権・有線送信権等)・伝達権、
口述権、展示権、上映権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権等、
二次的著作物の利用に関する権利
◎著作者人格権
・著作者に一身専属――譲渡や相続などできない
(そんな事が合法的に出来たらゴーストライターがごろごろ増殖しちゃいます)
・公表権以下の内容
◎財産権としての著作権
・著作権は複製権ほかの支分権の総称
・著作権侵害
・著作権は、譲渡、相続等が出来る――著作者≠著作権者あり
・複製権以下の内容
◎著作隣接権
・著作隣接権とは、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者が持つ権利
著作権、著作隣接権はいつまで有効か
◎著作権、著作隣接権の有効期間――保護期間
外国の著作物、実演などについても保護されるのか
◎著作権、著作隣接権に関する国際関係――国際条約
著作物、実演等を自由に利用出来る場合があるのか
◎自由に出来る場合
・著作物 著作権法第30条〜50条
実演等-第102条 →参考資料4の1、4の2、5の上段参照。
(参考資料はページ下部に記載します)
・著作物の改変など著作者人格権にかかわる利用を行う場合は、
著作者にその同意を得る必要がある(著作権法 第50条)
著作物、実演等を利用する場合、まずどうするか
◎具体的な利用の手順
利用する著作物、実演等について、まず著作者や実演家等を特定し、
次いで以下の手順で調べ、権利処理を行う
わが国(この場合は日本国内とする)で保護されるかどうか調べる
・日本国民の著作物、実演等か?
・国内で最初に発行された著作物か?
・国際条約で保護される著作物、実演等か?
いずれもあてはまらない場合→利用可能
どれかがあてはまる↓
保護期間について調べる
・保護期間内のものか?
違うなら→利用可能
期間内ならば↓
自由に利用出来るかどうか調べる
・自由に利用出来るケースにあたるか?
自由に利用出来る場合→利用
自由に利用出来ない場合↓
著作権者、実演家等を調べ、利用の許諾を得る。
(権利の管理団体への申請手続きをする場合あり)→この後利用可能。
・利用の許諾を得る場合は、出来るだけ利用の仕方を詳しく説明し、
許諾の範囲、使用料の金額、支払方法等を確認し、また改変などを行う時には
著作者にその改変の仕方、範囲等を伝え、その同意を得る。
・これらのやりとり(上記手続き)は文書で行う。
(アナログである文書(手紙?)は今でもかなり信用度が高いようですね)
著作物、実演等を利用する場合の申請先、問い合わせ先はどこか
◎著作物仲介業者ほか権利者団体等
3.写真に関わる著作権について
1)写真の著作権者と他の著作権者の違い
◎保護期間のアンバランス是正
・平成8年の改正-「著作物の創作から著作者の死後50年まで」
(平成9年3月25日施行)
*ようするに他の著作物の保護期間と同じになったわけです。
(かつて写真の価値は他の著作物と比べて(主に絵画)、価値が低いとみなされていました。
写真家不遇の時代だったわけです)
・写真の保護期間の推移
〜昭和41年-----
「発行後10年間(未発行の場合創作後10年)」
昭和42年〜昭和45年末-----
「発行後13年間(未発行の場合創作後13年)」
昭和46年〜平成9年3月24日-----
「公表後50年(未発行の場合創作後50年)」
平成9年3月25日〜-----
「著作物の創作から著作者の死後50年まで」
・欧米各国の写真の保護期間(平成4年現在)
アメリカ、イギリス、フランス-----死後50年まで
オーストリア/芸術写真-----死後70年まで
スェーデン/美術的、学術的写真---死後50年まで
ドイツ---------------------死後70年まで
・昭和45年以前の写真----要注意(↑「写真の保護期間の推移」参照)
◎写真の著作権者名表示
・著作権の保護、著作権利用者の便宜
・写真提供、資料提供---提供者・協力者≠著作権者
◎古い肖像写真の著作権者
・旧法時代(昭和45年末まで)-----「嘱託による写真肖像」(旧法第25条)
著作権者=写真撮影を依頼した者
(撮影された人にはもれなく「肖像権」がついてきます。
無断で写真を利用されない権利というものです。
ビデオカメラで撮影された場合も「肖像権」がかかりますので御注意を)
肖像権---民法の不法行為に関する第709条等を根拠に判決で認められるようになった。
以下二つのアプローチ
・プライバシーの保護---人格的利益の保護の面から
昭和44年最高裁判決「京都府学連事件」
・パブリシティの権利---経済的利益の保護の面から
昭和51年東京地裁判決「マークレスター事件」
平成3年東京高裁判決「おニャン子クラブ事件」
上記事件についての詳細は検索エンジンで調べてくださいね。
2)マルチメディア時代の写真にかかわる著作権問題
◎デジタル技術、コンピュータ技術の進歩と光ファイバネットワークの発達
・テクノロジーの進歩
コンピュータ →・デジタル技術
・通信ネットワーク技術
光ファイバー →世界的な高規格の通信網
上記の物をまとめてマルチメディアと呼ぶ。
・マルチメディア---文字、音声、静止画、映像等多様な表現形態
デジタル技術とコンピュータ技術を用いて統合
インターネットネットワークでインタラクティブに操作
◎デジタル→オリジナルと同じものが大量に、迅速に、安価に出来る
デジタル→インターネット送信が出来る
・著作物等の権利者、利用者にとって大変な問題
---オリジナルと同じものが大量に、迅速に、安く複製される しかも世界規模で
------複製権、公衆送信権
◎デジタル→改変が容易になる
・著作者に無断で行われる改変がさらに増える可能性あり
----同一性保持権
(海賊版やアイコラ(アイドルのコラージュ)はこの権利を侵害している?)
◎ デジタル化、ネットワーク化のもたらす問題点
・上述の問題が生じる可能性大
・無断利用の増大----権利侵害への対応が困難
(現段階でも完全に把握するのは難しいようです)
・権利者側の不安、警戒心----
(例:コピーコントロールCDの導入(ぇ)
ちなみにそのCDを聞こうとしたら壊れてしまったCDラジカセなどもあったようです。
恐くて最新のCDなんて聞けませんよぅ(爆))
デジタル化などへの拒否反応
著作物等の利用料が高額化
(↑まあ、利用料の高額化により、無断利用に拍車がかかるかもしれませんけどね)
著作者等の創作意欲が減る→優れた著作物等が減っていく
(著作者の創作意欲の減退についてはちょっと「?」ですね。
ネット上で流している二次創作物の場合はどうなんでしょうねぇ)
・優れた著作物への利用にも影響
◎当面の対応
・デジタル・トゥ・デジタルへの技術的制限、著作権情報の電子的挿入 等々
・著作物の利用許諾にあたっては、上述の問題点を踏まえて、利用者と著作物が
どのように利用されるのか具体的に、詳細に協議し、協議の内容を文書で確認しあう。
以下、参考資料
[参考資料1]
1.著作物
◎著作物 とは、思ったこと、感じたことを、独創的に(オリジナリティが認められるもの)、
表現したもので、文芸、学術、美術、または音楽の範囲に属するものをいう。
実用品でないこと(実用品は基本的に「著作物」にはならない)