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第2章 現在、判明している症例(各シンドロームの紹介、代表エフェクトを軽く説明))
開幕-授業再開-
UGNの訓練室に据え付けられた巨大なテレビモニター。
数秒間真っ青な画面が映し出された後、ぬいぐるみ5体と4人の人物がテーブルに写っている光景が映し出される。
雅之:さて、ようやくシンドローム解説も後半戦だな。
慎一:意外と長くなったね、説明。
創一:なにせ、シンドロームは12種類もあるからな。詳しく説明しようとすれば必然的に解説も長くなる。
誠:やっぱりめんどくさいっすね。
雅之:(ハリセン錬成、誠にべしっとツッコミ)ええい、講師役が一番大変なんだぞ。弱音を吐くなと言うに。
……つい先程もこんな事をやった覚えがあるな。(頭を抱える)
慎一:はいはいはい。怒らない怒らない。雅之にーちゃん、そろそろ授業始めて?
???:(ひつじさんのぬいぐるみはやはり沈黙を保っている)
シンドロームの説明 続き
慎一:ええと、おさらいでもう一度シンドロームの一覧をリストにしておくね。
エンジェルハィロゥ
ブラックドッグ
ブラム=ストーカー
キュマイラ
エグザイル
ハヌマーン
モルフェウス
ノイマン
オルクス
サラマンダー
ソラリス
バロール
一般エフェクト(シンドロームに関係なく習得可能なエフェクト群)
雅之:さて。前回と同じくカルテを交えて説明を行う事にしよう。
同一シンドロームの組み合わせでも発症形態が異なるケースがあるのでサンプルとなるカルテは多めに用意した。
何度か同じカルテが出てくる事もあるかもしれないが、比較する為の措置なのでご了承願おう。
見出しはコードネーム、名前、シンドローム、戦闘タイプ、強さの基準(消費経験点)の順番で表記しておいた。
モルフェウス
雅之:ようやくモルフェウスについて解説が出来るな。長かった。
さて、どんなシンドロームか説明出来るか?
誠:見た目で一番わかりやすい能力は何か適当なモノを近接戦闘用の武器に変化させる《インフィニティ・ウェポン》、
何か適当なモノを銃火器等の遠距離武器に変化させる《ハンドレッド・ガンズ》っす。
あ、防具を作り出す《アーマークリエイト》や防具を強化する《ガードポイント》もあったっすね。
慎一:他にも、怪我した人を癒すための薬を作ったりする《ヒール》や《アウェイクン》、
武器同士や防具同士を合成させてより強力なモノを作り出す《物質合成》、
武器や防具以外の道具を作り出しちゃう《マシンモーフィング》や黄金を作り出す《黄金錬成》なんかもあるんだよ。
すごいねモルフェウスって。なんでも出来ちゃうんだ。
創一:そうだな、何でも出来るかどうかはともかく、モルフェウスはモノを作り出す能力のエキスパートだ。
中世ヨーロッパ時代に現れた“錬金術師”のような能力を発揮するシンドロームと言えよう。
どんな物質でも紙状に物質変換して隠蔽してしまうエフェクト《折り畳み》を見た時は“錬金術師”というよりも
“魔術師”なのではないかと思った事があるのだが。
雅之:基本的に万能型ではあるが、それ故に器用貧乏のイメージは拭えない。
モルフェウスのシンドロームを持つ者は、どのような方向性に進むつもりなのか常に頭の隅で考えておけ。
誠:(雅之を指差す)器用貧乏の典型的パターン?
雅之:(鉄拳制裁)
誠:痛いっす痛いっす!暴力反対っすー!
慎一:雅之にーちゃん、ツッコミが段々激しくなってるよ(遠い目)
創一:やはり他のシンドロームとの組み合わせで能力の生かし方も変わってくる。
例を上げるとエンジェルハィロゥ、ブラックドッグならば射撃、キュマイラやノイマンなら白兵、オルクスやサラマンダーならRC攻撃型……だな。
もっともこれは一例にすぎない。自分の可能性は自分で決めろ。
雅之:そうそう、モルフェウスはカバーリング用のエフェクトを多数保有している。
カバーリングを行っても行動済みにならないエフェクト《砂の結界》、武器の形状を変化させてカバーリングの性能を
引き上げるエフェクト《フォームチェンジ》、物質変換で盾を作り出す《シールドクリエイト》等だな。
誠:そうそう、変わったエフェクトがあるっす。《サイコメトリー》って言って物から情報を引き出せるモノなんすけど。
ちょっと発動条件が厳しいっすけど、上手く使えば便利だと思うっす。
僕も持ってるっす。……あんまりうまく使えないっすけど(がっくり)
慎一:余談だけど雅之にーちゃんは、《サイコメトリー》使いだからって事で“静かなる読み手”って名付けられたらしいんだよー。
雅之:まあ、本来私は情報収集が得意分野だからな……と。お喋りが過ぎたな。
カルテを出しておこう。参照しておいてくれ。
モルフェウスシンドローム発症者
ノイマン
雅之:次は、「万能の天才」と謳われるノイマンだな。
直接殴り合ってもよし射撃をさせてもよし。情報収集、他者への的確な指示も思いのままだ。
誠:(慎一、創一を見ながら)そっちの高校生の子はあんまりノイマンっぽく見えないっすねえ……
慎一:(がーん)ひ、ひどいー(ぽこぽこと誠を殴るがあまり効いていない)
創一:まあ、RC攻撃を行うエフェクトは持っておらず、エフェクトのみで射撃を行う手段がないと言うのがこのシンドロームの弱点だろうか。
とはいえそれを補ってあまりあるポテンシャルを保有しているので、あまり気にしなくていいだろう。
雅之:白兵、射撃の代表的なエフェクトと言えば確実に相手へ攻撃を当てる為のフェイント用エフェクト《達人の業》や《抜き打ち》、
相手の防具を破壊する為のエフェクト《崩壊の一点》、武器を複数同時に操る《マルチウェポン》……まあ、そんなところか。
慎一:あと、的確な指示で行動の成功率を上げる《アドヴァイス》、敵の弱点を見抜いて教える《弱点看破》、
面白いのだと世界中のあらゆる言語を理解してそのうえ動物や植物とも会話出来る(らしい)《ドクター・ドリトル》もあるよー。
……ホントに会話出来るのかな?
誠:多分、横で見てたら相当不気味な光景っすねえ(想像したらしい)
創一:情報収集用のエフェクト《知識の泉》や《生き字引》も侮れない。
特に《生き字引》は、俺や慎一のように社会と関わりが薄い人間にとって重要な情報収集の手段だからな。
直感で真実を見極める《インスピレーション》のようなエフェクトもある。場合によって活用するといい。
慎一:あと、なんと言っても基本的にオールマイティな《天性のひらめき》を紹介しておかないとね。
攻撃する時以外の場面、例えば欲しいものを調達する時とか情報集める時とか役に立つんだよー。
あ、あとカバーリング用に使えるエフェクト《ディフレクション》もあるからねー。ホントにノイマンって色々出来るんだね。
雅之:さて、カルテを見てもらおうか。やはりノイマンとひとくくりに紹介するのは難しいものだな。
カテゴリー分けも一苦労だ。
誠:ところで、シャーロック・ホームズも実はノイマンなんすかねぇ?
創一:(しばらく考え込んだ後)……それはどうだろう。
ノイマンシンドローム発症者
オルクス
雅之:やっとオルクスの説明に入れるな。
基本的にオルクスは『領域』を操る力だ。それに特化したエフェクトが大半だな。
慎一:『領域』?なわばりみたいなのを想像すればいいかな。
創一:まあ、そんなものだな。人間の間でも、パーソナル・スペースというものがある。
これも『なわばり』の一種だ。
誠:なんすか?その「パーソナル・スペース」って。
創一:人間同士が取るスペース……物理的距離のことだな。この領域を侵されると不快感を感じるケースが大半だ。
親しくなればなるほど、このスペースは狭くなる。
電車で座る時も、基本的にこのパーソナル・スペースが関係しているようだな。
混んでいる時ならともかく、そうでなければある程度他の乗客と離れて座るだろう?
平たく言えばああいったものだ。
雅之:赤の他人と思っている相手に触られるような距離だと警戒するものだ。
あとはお互いが座る位置だな。対話する時の座り方等もパーソナル・スペースに関わってくる。
今回の場合は、円形テーブルを使っているな。人数が人数なので仕方ないのだが、少々やりにくい。
誠:んじゃ、恋人同士みたいに隣同士で座るんすか?男4人で。
雅之:やめんか気色悪い(べし)まあ、パーソナル・スペースが『領域』の最小範囲のようなものだと考えておけばいい。
オルクスが操る『領域』は大体これを拡大解釈したようなものなのだろう。
慎一:ふうん。わかったようなわからないような。今度検索エンジンで調べてみるね。
雅之:さて、話を戻そう。『領域』を操る力というのは、具体的に「自分の思うように法則を書き換える」と言う事だ。
「基本的な世界の法則を塗り替える」と言い換えてもいいかもしれんな。
オルクスに備わっている『因子』とやらでそれを可能にするのだそうだ。
まあ、オーヴァード単体が書き換えられる法則などたかがしれているのだが、ね。
誠:例えばどんなんすか?
雅之:適当な動物一体を自分の意のままに従わせる《アニマルテイマー》、操作する機械を自由に操る事が出来るようにする《機械の声》、
自分が所持している武器の法則を書き換えて相手を翻弄する《形なき剣》、武器の性能を書き換えて限界以上の力を引き出す《オーバーロード》、
空気中の水分の法則を書き換えて相手に攻撃を加える《水刃》、他人の意識を「書き換え」自分の支配下に置く《ナーブジャック》等だな、わかりやすいのは。
創一:法則を書き換えるエフェクトは他にもある。自らの『領域』内にある土や風の法則を書き換えてコントロールする《幸運の守護》、
領域の攻撃範囲を書き換えた後に攻撃を仕掛ける《完全なる世界》、領域を自らが考えた法則によって書き換えて自分以外の者の行動を阻害する《奈落の法則》、
自身が立っている領域の地面の法則を書き換えて地面ごと移動する《縮地》……まあ、そんなところか。
ああ、法則を書き換えて交渉を自分の有利に運べるように仕向ける《領域調整》、相手が武器を装備していないという事にしてしまう荒業《グレムリン爆弾》のようなエフェクトもあるな。
誠:ようするに「今から俺ルール適用っ!」(指びしい)って感じっすか?
慎一:うわなんかすっごくかっこわるいイメージになった(ぼそぼそ)
えーと、このシンドロームもピュアブリードよりクロスブリードの方が真価を発揮するんだって。
特にRC攻撃型、交渉支援型、交渉攻撃型のオーヴァードは強いらしいよ。
雅之:では、カルテを提示しよう。参考にしておいてくれ。
オルクスシンドローム発症者
サラマンダー
雅之:次はサラマンダーだな。氷と炎、そして熱を操るシンドロームだ。
まかり間違っても交渉系には向いていない、と言える。
自身の体を燃焼させて攻撃の威力を高める《終末の炎》は使えるかもしれんが。
誠:あついのさむいのー、なシンドロームっす。一家に一台、エアコン要らずっす。
創一:……どうだろう、その説明は。(激しく頭抱える)
慎一:暑すぎたり寒すぎたりでエアコンみたいに適温じゃないと思うなあ(ぼそり)
ええと……周囲の水分を凍らせて白兵武器を創り出す《氷剣》、氷の壁を作り出して相手の攻撃を防ぐ《氷壁》、
空気中の水分を凍らせて次の攻撃の準備を整える《氷の加護》、超高温とか調低温でもダメージを受けない《不燃体》とか、かな。
雅之:炎を操る類のエフェクトも紹介しておこう。
武器を白熱させて攻撃の威力を高める《炎の剣》……これ、《氷剣》は溶けないのか?まあいい。
熱量のコントロールで一時的に運動能力等を引き上げる《炎神の怒り》、炎を発生させて移動を阻害させる《火の檻》、
灼熱のプラズマ球を作り出して相手に投射する《プラズマカノン》辺りがわかりやすいか。
創一:シンドロームのエフェクト構成上、白兵、射撃、RC攻撃、カバーリングに向いているな。
ピュアブリード、クロスブリードともにそれなりのポテンシャルは約束されているシンドロームの一つだ。
誠:とりあえず、「俺に触るとヤケドするぜ」って事なんすね?
慎一:(それを黙って聞いてから)……うわー死語だー(ぼそぼそ)
誠:(ががーん)なんてこと言うんすかこのオコサマはーっ(追い掛け回す)
雅之:……あの二人は放っておこう。カルテを出しておくぞ。
サラマンダーシンドローム発症者
ソラリス
雅之:やっとシンドローム紹介も終盤に近づいてきたな。
次はソラリスシンドロームだ。水に関するエフェクト、体内で薬を精製するエフェクト、それを応用して肉体能力の向上を行うエフェクトだ。
誠:ソラリスシンドロームの発症者ってRC攻撃か交渉攻撃型ってイメージがあったんすけど、それ以外の戦い方もあるって事なんすね。
慎一:んー、でも支援系のエフェクトが多いし、一番向いているのはRCか交渉での支援型じゃないのかなあ。
創一:まあ前置きはそれくらいにして、一部エフェクトの紹介に移ろう。
脳内麻薬を精製し、限界を超えた肉体能力を発揮させる《アドレナリン》、強酸性の物質(液体だろうな)を敵にぶつけてダメージを与える《痛みの水》、
痛覚を刺激する毒物を生成して塗布し、相手にじわじわとダメージを与える《茨の輪》、
相手に幻覚を見せ、恐慌状態に陥れる《絶対の恐怖》辺りが代表的なものだろうか。
雅之:支援系のエフェクトも紹介せねばなるまいな。
運動能力を増強させる物質を生成する《アクセル》、興奮させる物質を生成して散布する《戦乙女の導き》、
精神のバランスを少々崩すが肉体能力を高める効果を持つ物質を散布する《熱狂》、
強力な興奮性の物質を散布する事により対象のポテンシャルおよび行動の成功率を引き上げる《狂戦士》辺りか?
慎一:ふうん。ソラリスシンドロームの人たちが作る薬品って色々な効果があるんだねー。
誠:………薬物中毒まっしぐら?
雅之:………………ほほう。ソラリスシンドロームの発症者を目の前にしてそのような事が言えるのか。たいした度胸だ。(拳ぶるぶる)
慎一:(怖いのでさっさと逃げた)
創一:なお、ソラリスシンドロームの持ち主は回数制限付きではあるがエフェクトの効果範囲を自分の周囲に散布する《ポイズンフォッグ》、
交渉技能のみではあるがピンポイントで対象を特定できる《声無き声》があるので相手にする時は注意した方がいい。
(誠と雅之を指差しながら)……逃げにくい場所に追い込まれると大変だからな。
慎一:(とりあえず攻撃の範囲外から脱出したらしい)
ええと……交渉技能を使うエフェクトはさっき紹介した《絶対の恐怖》以外に使用者の言葉を真実と思い込んじゃう《抗いがたき言葉》、
精神を落ち着かせて自分の話に耳を傾けてもらうようにする《帰還の声》、安心感を与える香りを生成、発散して相手を安心させる《錯覚の香り》、
運動神経を麻痺させる物質を散布する《彫像の声》、赤の他人でも旧知の親友だと思わせる《竹馬の友》、
非オーヴァードなら自分の意のままに操る事が出来る《人形使い》かなあ。
ホントに色々出来るよ。
(雅之の方を一瞥、その後カメラ目線)…………敵に回すと怖いから気をつけてね。
雅之:《絶対の恐怖+錯覚の香り+彫像の声+ポイズンフォッグ+マインドエンハンス》っ!(ほぼ全力攻撃)
誠:うわーんひどいっす!そこまでやられるほど酷い事は言ってないっす!(逃走するが範囲から逃れられず、直撃。ぐったり)
創一:……さて。最後にカルテを見てもらおうか。慎一、応急処置セットで手当てをしておけ。
ソラリスシンドローム発症者
バロール
雅之:では、最近になって発症者が確認されたバロールシンドロームについて説明しよう。
このシンドロームは現在普及しているUGNの資料には掲載されていないので注意してくれたまえ。
最近発見されたシンドローム故に旧版の資料には未だ追加されていないのだ。
(羊さん通訳:基本のルールブックには掲載されていません。サプリメント「アルターライン」をご購入の上確認をお願いしますねー)
創一:“宝玉”ないし“魔眼”と呼ばれる球体……いや、球体とは限らないらしいが、を生み出して時間と重力を操るシンドロームだ。
その“宝玉”や“魔眼”の力をコントロールしてエフェクトを操っていると言われている。
誠:なんか、レネゲイドウイルスの枠を越えた力に思えるんすけど……
慎一:オルクス並に謎が多いシンドロームだよね。
雅之:とはいえ、やはり個人で扱う力だ。影響力も他のシンドロームと大差は無い。
力の原理が一番気になるところではあるがね。さて、このシンドロームは他のシンドロームにはない特徴がある。答えられるか?
誠:んー、戦いの直前に使えるエフェクトが複数あるっす。時間を操るっていう能力のせいっすかね?
慎一:ああ、あと時間を操って普通の行動の他にも行動出来たりとか、相手の行動を邪魔して失敗させたりとか。
雅之:まあ及第点か。ちなみに誠が例に上げたエフェクトは《時間調律》、《重力の城》、《重力の沼》の事だ。
慎一が例に上げたのは《時間凍結》、《時の棺》だな。
どれも特殊、かつ使いようによっては驚異的なエフェクトだ。バロールシンドロームの持ち主と対峙する際は注意しておけ。
慎一:あとね、補助系エフェクトだけど次に敵が受けるダメージを大幅に上げる《死神の瞳》があるんだよ。
重力を操ってダメージを増幅しているのかなあ?
創一:基本的にはRC型のオーヴァードが多い。が、保有しているエフェクトの特殊性からカバーリング型のオーヴァードもいるようだな。
誠:こう、重力はともかく時間を操る事が出来るのって羨ましいっすよねえ。
雅之:(訝しげな表情を浮かべる)………何を考えている?
誠:朝起きて遅刻しそうな時に時間を止めるっす!これでお寝坊さんも安心っす!
雅之:(おもむろにハリセンアタック。勿論予め錬成済み)
慎一:ええと。カルテをまとめておいたから読んでねっ(あたふた)
バロールエフェクト発症者
一般エフェクト
雅之:さて。最後にどのシンドロームでも共通で扱う事が出来るエフェクトを紹介しておこう。
今まで紹介したシンドロームのエフェクトはピュアブリード、クロスブリードで限界のレベルが異なっていたがこのエフェクト群に限ってはその区切りがない。
慎一:ふうん。すごいんだ一般エフェクト。
誠:最初に紹介した《リザレクト》や《ワーディング》も一般エフェクトに入るらしいっす。
創一:その他のエフェクトをここで紹介しよう。レネゲイドウイルスの力を増幅させて攻撃の威力を高める《アタックボーナス》、
周囲の空間にレネゲイドを沈静化させる特殊な物質を散布する《カームダウン》、レネゲイドウイルスの活性化により受けるダメージを軽減する《ショックアブソーブ》、
思考と行動を瞬間的に加速して細かい作業を連続して行う《ダブルスクラッチ》、そして【肉体】と【感覚】に関連する技能の成功率を高める《フィジカルエンハンス》、
【精神】と【社会】に関する技能の成功率を高める《マインドエンハンス》。
最後にレネゲイドを最大限に活性化させることによって生命力を高める《ヴァイタルアップ》だな。
慎一:《ヴァイタルアップ》は主にジャームが使うものなんだよ。
ぼく達一般的なオーヴァードよりも基本的に死ににくいのは基本的にこのエフェクトのせいなんだ。
誠:他のエフェクトは僕等通常のオーヴァードでも使用するっすよ。
特に《フィジカルエンハンス》や《マインドエンハンス》は重宝するっす。シンドロームによる技能の得意不得意を若干緩和してくれるんで便利っす。
雅之:(驚いたように目を見開き)………珍しくまともな発言だ。
誠:(ががーん)それどういう意味っすかーっ?!
諸刃の剣?120%以上限定エフェクト
雅之:さて。最後に各シンドロームの120%以上限定エフェクトについて説明しよう。
ちなみに、一般エフェクト群にはそんなものは存在しない。
……まあ、せいぜい《ヴァイタルアップ》が一般エフェクトにおける120%以上限定エフェクトに当たるかもしれない、と言う事くらいか。
慎一:ええと、ぼく達誰も持ってないんだけど説明出来るのかなあ?
創一:実演が出来ないだけだ。案ずる事は無い。
誠:まずは、各シンドロームの120%以上限定エフェクトを紹介するっす。
エンジェルハィロゥ 《光の守護》
ブラックドッグ 《自爆装置》
ブラム=ストーカー 《不死不滅》
キュマイラ 《魔獣の証》
エグザイル 《透過》
ハヌマーン 《神速の鼓動》
モルフェウス 《魂の錬成》
ノイマン 《戦神の祝福》
オルクス 《ナーブジャック》
サラマンダー 《極大消滅波》
ソラリス 《アクア・ウィターエ》
バロール 《黒星招来》
誠:どのエフェクトもこう、「切り札」って感じのエフェクトっすよ。
と、紹介した所で各エフェクトの系統を分類した方がいいっすね。
雅之:というわけで、だ。
下記リストにエフェクトの系統を分けている。攻撃系、復活系およびダメージ無効系、特殊系だな。
その効果も簡単に説明しておいた。参照してくれたまえ。
攻撃系
ブラックドッグ 《自爆装置》:昏倒直後に自爆して敵にダメージを与える。
回避・リアクションが行えないので必ず当たるが、エフェクト使用直後に死亡状態となる。
ハヌマーン 《神速の鼓動》:振動波を利用して攻撃の範囲を極端に拡大するエフェクト。使用制限あり(1回限定)
ノイマン 《戦神の祝福》:ノイマンの優れた知性を全開で使用、敵の最も弱い場所を的確に攻める。使用制限あり(1回限定)
サラマンダー 《極大消滅波》:純粋な力場を創り出し、範囲攻撃。特殊なタイミングのエフェクトなので回避・リアクション不能。使用制限あり(1回限定)
復活系およびダメージ無効系
エンジェルハィロゥ 《光の守護》:光を集め、相手の攻撃が当たる直前に残像と入れ替わってかわすエフェクト。
使用回数に制限あり。(レベルで変動)
ブラム=ストーカー 《不死不滅》:昏倒、もしくは死亡状態になった後に任意で使用可能。(数年後でも使用可能?)
限定条件下における「不死」である事を表すエフェクト。体力の回復はない。回数制限あり。(レベルで変動)
キュマイラ 《魔獣の証》:キュマイラの生命力を全開にし、再び立ち上がるエフェクト。
昏倒から回復、大幅に体力を回復する。 使用制限あり(1回限定)
エグザイル 《透過》:肉体を液体化させて攻撃を通過させ、さらにエネルギーに変換。
攻撃を無効化し、逆に体力を回復出来る。使用制限あり(1回限定)
モルフェウス 《魂の錬成》:昏倒および死亡状態になった時に発動。即座に昏倒、死亡状態を回復させて体力も大幅に回復。使用制限あり(1回限定)
ソラリス 《アクア・ウィターエ》:生命の精髄とも言える物質を用いて自らを癒すエフェクト。
死亡および昏倒状態になった時に使用。死亡および昏倒を回復させ、わずかながら体力も回復する。使用制限あり(1回限定)
バロール 《黒星招来》:ブラックホールを形成し、敵の攻撃をすべて飲み込むエフェクト。ダメージを打ち消す。使用制限あり(1回限定)
特殊系
オルクス 《ナーブジャック》:自らの因子で対象を支配する。エフェクトを使わせる行為以外ならなんでも命令可能。このエフェクトの適用はオーヴァード、非オーヴァードを問わない。
なお、<意志>でこのエフェクトに抵抗可能。対象が昏倒する、もしくは時間経過により効力が切れる。
慎一:へえ、こうなってるんだ。《ナーブジャック》だけ特殊なんだね。
やだなあ、支配されるの(ぶるぶる)
創一:一応言っておくが、120%限定エフェクトはあくまで「隠し玉」だ。
「切り札」と言えるエフェクトはむしろ80%および100%限定エフェクトに多い。
誠:んー、じゃあなんでこっちを紹介したんすか?
雅之:このエフェクトの危険性を知ってもらおうと思ってな。
この系統のエフェクト群のみ、使用時の侵触率上昇が激しい。使用は出来るだけ控えるように。
慎一:具体的にはどれくらい上昇するの?
創一:表現が難しいな……『日常』に帰ってくるのが難しくなる、と言っておこうか。
誠:なるほど、だから120%限定エフェクトは「切り札」ではなく「隠し玉」なんすね。
雅之:ジャームになった後は侵触率を気にする必要もなさそうではあるがね(苦笑い)
我々には『日常』に帰ってくる理由がある。そうそう使う事もあるまい。
慎一:参考までに聞いておくけど、この中で一番危険なエフェクトってなあに?
創一:危険な、と言うよりは厄介な、と言うべきエフェクトなら《不死不滅》だな。
ブラム=ストーカーの紹介でも述べているが、死亡させた状態であってもこれを使用して復活するケースがある。
雅之:言うまでもなく《ナーブジャック》も危険なエフェクトだ。
味方のオーヴァードがこれを食らった場合は即座に昏倒させるように。
誠:うっわ、乱暴っすねえ。
慎一:《ナーブジャック》の効果を断ち切るためには仕方ないんだって。時間経過に任せていたら被害がさらに増えるし。
雅之:もう一度だけ警告しておこう。
もし、これらのエフェクトを使用する場合は基本的に『帰ってこられない』危険性を伴っている。
生半可な気持ちで扱うのは非常に危険である。よく覚えておくといい。
一時閉幕-授業中断-
雅之:というわけで、今回の授業は終了だな。
慎一:今回の授業は長かったねー。お疲れ様♪
創一:次回はカルテ作成の手順を紹介するのだったな。
誠:………ぐう(疲れたので寝たらしい)
雅之:次回以降もわかりやすい説明をこころがけて行こうと思う。
それでは、またな。
………寝るなっ(ハリセンで誠にツッコミアタック)
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